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三セク、地方鉄道のしんどさ加減を見てみる

JRローカル線廃止の受け皿として導入が進んだ第三セクターですが、ローカル線の厳しさは増すばかり。昨今はその存廃が議論されることも多くなりました。

私の場合、基本は趣味なので気楽に乗って楽しんでいるだけですが、廃刊になった「社会派」鉄道ジャーナルの読者でもありましたので(?)、ここ数年で乗車した地方私鉄や第三セクターの輸送実態を国土交通省の鉄道統計年報で調べてみました。

 

路線名 旅客人キロ 輸送密度 通学定期
割合
定期外
割合
通勤定期 通学定期 定期外
錦川鉄道 253 429 279 89 45% 29%
秋田内陸縦貫鉄道 235 1,341 5,339 201 19% 77%
三陸鉄道 714 5,706 8,364 248 39% 57%
わたらせ渓谷鐵道 115 1,134 3,341 285 25% 73%
由利高原鉄道 226 1,668 775 317 62% 29%
津軽鉄道 50 1,138 1,662 377 40% 58%
山形鉄道 187 3,205 835 385 76% 20%
弘南鉄道大鰐線 274 781 1,004 406 38% 49%
平成筑豊鉄道 1,453 6,464 4,323 682 53% 35%
阿武隈急行 3,988 6,041 7,810 890 34% 44%
熊本電気鉄道 1,986 2,165 3,942 1,714 27% 49%
甘木鉄道 3,314 2,473 3,243 1,806 27% 36%
弘南鉄道弘南線 1,179 7,393 2,835 1,860 65% 25%
福島交通 3,105 1,128 4,918 2,725 12% 54%
筑豊電気鉄道 10,316 5,951 7,922 4,142 25% 33%
仙台空港鉄道 4,595 743 12,182 6,759 4% 70%
西日本鉄道貝塚線 14,438 5,989 12,987 8,322 18% 39%

国土交通省 令和4年 鉄道統計資料より抜粋(輸送密度の列まで)

通学定期割合と定期外割合は筆者が追記

 

上表は乗車した鉄道路線の輸送密度(国交省資料では平均通過数量と表記)を小さいものから順に並べたもので、平たく言うと上の方に行くほど利用実態が厳しい(利用者が少ない)・・・と言えます。錦川鉄道が極端に低い理由は良くわかりませんが、前年の令和3年の数字は215、同年の秋田内陸縦貫鉄道は166(ワースト)だったので、漸減傾向に加えて「バラツキの範囲内」なのかも知れません。

いずれにせよ1984年の第2次廃止対象特定地方交通線の基準の2,000はおろか、1,000を下回る路線が多く、実際に錦川鉄道を始めいくつかの路線では、すでに存廃の議論が始まっており、今後が懸念される状況です。また山形鉄道の様にこのような利用実態の企業では将来への不安も拭えない訳で、人材確保が難しくなるのも頷けます。

右端2列は私が追加した数字で、輸送人キロの内、通学が占める割合と、定期客ではない一般利用の割合を示しています。通学利用が多いのは山形鉄道の76%を筆頭に、弘南鉄道65%、由利高原62%などで、学びの環境を維持するための重要な足である一方で運賃収入的にはマイナスの要素となります。定期外が多いのは収入的にはプラスですが、観光、買い物、通院などの旅客を取り込む営業努力が欠かせないということになるように思います。

 

私も乗車時にはもちろん運賃を払いますが、この記事に書いたように「そこに行くまでの運賃」は専らJRの稼ぎになっているので金額的にはせいぜい2000円どまり。逆に輸送密度の低い多くの路線が沿線自治体等の補助金を受けているので、私も地域の皆さんのお陰で乗車を楽しませていただいた・・・ということになりますね。神様のご加護にに合わせて地域の皆さんにも感謝です。